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- 北の空からみなみへ -
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秋分点を越えた日
2008年 09月 24日
秋分点を越えた朝、初冠雪の便りが届く。
山の天辺に届いた白い便りは、一ヶ月の速度で里へと届く。
山の親父は、もうたっぷりと餌を身体に蓄えたろうか。
狐とシマリスと野うさぎは、冬の毛皮に着替えたろうか。

同僚に仕事を任せた定時退勤、夕暮れの写真を撮るには、もはや遅い空の色。
海と空の色は、これからすこしずつ藍碧色を取り戻してゆくだろう。
海の深みと、空の高みは、少しずつ遙かな距離を示すだろう。
秋色の冴えない山の報あれど、里色の方は実りに映えるだろう。

春分の日と秋分の日は、日の長さの変化が最も急峻になるあたり。
地に先駆ける天の変化は、精密時計の正確さで弛むことがない。
春と秋、その方向の反対さが雲の様子と空の抜けに表れるのか。
煙るような地表に漂う朧な春と、昇りつめたような高空に塊なす足早な秋と。

雪の消えきらない春の節
雪の残ることない秋の節
冷たい頬にも温もり感じる春の風
冷やり吹き抜け暑気の最終章を告げる風

autumnal equinox : 秋分
昼と夜とが、equivalent に等しく並ぶ日
青く輝く春は、autumnal な落日と共に冬毛をまとう
紫紺と藍碧とが空の色としてよく似合い、
黄金色と黄橙色とに、街が山が染まる頃

ぼくは静かに確かな、夢枕
色をつけない、夢を夢見て
色を中和した、透明さに現(うつつ)を抜かし
刷り込まれた、雛形を弄ぶ

図書館にゆく自転車の手に、手袋が欲しくなり
長袖のポロシャツの上に、ナイロンの遮風生地が欲しくなる
そういう季節も、また悪くない
遙かな頂を望むことは、かなわないとしても
by bucmacoto | 2008-09-24 18:47 | wave | Comments(0)
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