人気ブログランキング | 話題のタグを見る
- 北の空からみなみへ -
exblog staff

<< 雪一面の朝 ゆきだるま >>
feed forward exam. ~ モテ男への投機的美人投票
2006年 11月 24日
 ※ この記事は feed-back / feed-forward のつづきになります。

経済学の実験には心理学と似たような実験が用いられることがあるようです。

 株式投資や外国為替には、将来価値の予測 をいかに正確に他者に先駆けて行うかというフェア&シュア(まっとう+賢明さ)を競う側面に加えて、いかに他人を出し抜くかというゼロサム性(相手が損した分を自分は儲ける)があります。 ですから論理的Logicalな要素と心理的mental な要素の両面があるのは当然かも知れません。
 そんな実験のひとつに、次のようなものがあると先日の日経新聞小コラムで知りました。

 失われた10年とも15年とも呼ばれる事のある、経済バブルの発生を理論的に解析するために株式投資行動を一定の制限してシミュレーション(模倣)する実験です。
 そのひとつは、自分が美人だと思う対象ではなくて、皆が魅力的だと思う(自分が多くの人々の胸の内を予想する)対象に対し投機行動をするというルールです。(投機行動には美人投票と同様な面があります)
 このようにすると、自分が美人であると思ったから投票する行動に比べて、他人の判断を考慮する投票では投機が集中する傾向が顕著になりました。
 いわゆるポジティブフィードバックが働いたわけです。

 低い所には水が集まって谷川となって流れ、その侵食でますます谷が深くなる。 このようなしくみがポジティブフィードバックなわけですが、美人投票に擬(なぞら)えられる株式投資にもまったく同様な構造があります。 投資の集まるところには「これは将来有望だ」と思ったより広範囲の人々からの投資(というか投機かな)が集まるのです。
 ちなみに、カネがカネを呼ぶような好循環も、借金が借金を膨らませるような悪循環も、どちらもポジティブフィードバック(正帰還)であることには注意です。 いわば、もっともっとますます といった変化を加速する跳ね返り(反響)があるならポジティブであるといえます。

 先の実験の続きでは、株式と同様に価値のある状態(みなが美人と思っている)であるならば、配当が高くなるようなしくみにして、さらに前期と後期に分けた実験もしていたようです(すみません,うろ覚え・・・)。
 そうすると前期では見事なまでにバブルな状態になったそうな。 いわば高値で売り抜けようとする人にとっては、実体を評価することよりも 評判を煽るほうが有利にゲームをできるという心理が働いたわけです。 (後期組は最終的に清算と配当が控えるので、実体に近付いた判断をする傾向となる)


 さて、ここでモテ男に対する 女性たちの支持行動を簡単に解析してみましょう。
 ザ・もてない君だった私の分析ですから、経済アナリストよりずっと低い信頼性であります。

 美人投票的な評価には、正帰還な構造が生じやすいのは先の例の通りです。
 ぶっちゃけて噛み砕いてしまえば、
  • 尻馬に乗る
  • 付和雷同
  • 行列には外れがない
  • 勝ち馬(本命馬)は押さえておく
  • おいしいって評判の味はどのくらい?
という要素が入り混じるのだと思います。
 ギャンブルは人間の射幸心をくすぐり、スリルと興奮とが伴うゲームです。 株式や先物取引にも同様のゲーム性があります。 そして将来の自分に大きな影響を及ぼすという意味では、恋愛行動は最もギャンブル性の高いゲームであるといえましょう。

 そういう意味で、ポジティブフィードバックなセンスを持つ男性に女性は興奮や興味を示すような気がします。 いわゆるノリが良い。 会話のレスポンスにセンスがある。 軽すぎない(安定感がある)けれど、重くない(変化に対応する能力を感じる)。 そういった男性です。
 一般に、理系技術者のような男性にはネガティブフィードバック回路が強い傾向があります。(そして、時に暴発するイメージがあったり ^^;) 恒常性に優れているのですがノリが悪いイメージです。 社会全体が一発当てようという山師だらけだったりすると、全体の中で異彩を放ち人目を惹きつけるのですが、そうでないと無色か灰色で人畜無害か無芸大食扱いになる可能性すらあります。 そうした(安定=変化のない=射幸心刺激に欠ける)男性に彼女ができた途端、それまで不安げだった一挙手一投足に自信が感じられ、これまで気圧されていたようなシチュエーションで迷い続けずに決断できるようになるというのはよーく見られる事です。(注:ただし、この状態はそれほど長くは続かない 汗;)

 ポジティブな心理状態というのは、恋愛以外でもよくあります。 例えば初めての一人暮らしをし始めた時などです。 人によっては国をまたいで移り住んだ場合もそうでしょう。
 恋愛でも、独立でも、留学でも、そういった急激な変化に対応することでヒトは心理的に成長を果たすのでしょう。 多くのノーベル賞級の科学者や医師達の回想録でも、留学とか 偉大な先達との交流に、大きな啓発と影響を受けたことが書き記されています。

 ちなみにこのポジティブな心理循環は、暴走すると制御不能に陥る危険性もあります。 いわゆるハイテンションで容易に怒ったり激高する躁病状態になりかねません。 不安定さと安定感と、この絶妙なバランスを保つような至高の男性である雰囲気を、彼女ができたばかりの男性諸氏は醸し出しているのかもしれません。

 現在の自分 
 将来の自分 


自分自身へのネガティブフィードバックの力加減を磨いたなら、そして時には羽目を外してタガを外してポジティブフィードバックに舞い上がったら、その後には(ちょっとだけ)末来の自分に適切な入力を送ってあげることができるように。 私は理系技術系のおっさんとしてそのように後進の方々にアドバイスして上げたいと思います。

 ちょっとだけ自分は制御回路にバグがあり、大変な思いもしましたので、バグ出し尽くす意味でも十代から二十代の期間で、緩急どちらの限界も自分から学びとっておいて欲しいと、こう思うのでした。 (その限界を超えるようなら、どんな美女であろうと、どんな才媛であろうと、才色兼備であろうとも、指をくわえて見送ってしまうのもひとつの英断だと思うのです)
by bucmacoto | 2006-11-24 22:59
<< 雪一面の朝 ゆきだるま >>
<< 雪一面の朝 ゆきだるま >>