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引用文 from ISSN 1344-3097
2006年 04月 23日
Selected Articles of MRI Vol.8 No.2ISSN 1344-3097; p12-13: あとがき : 原著者:荒木 力
modified : bucmacoto

 ・・・(前略)・・・
役立っているといえばAED(自動体外除細動装置 : Automated External Defibrillator)があります。 先日閉幕した愛知万博で医学生がAEDを使って人命救助しました (素晴らしいことです)。 一方,ある学校では野球のボールが胸に当たり生徒の心臓が停止してしまいました。 この学校にはAEDが用意されていたにもかかわらず,ただ一人AEDを使えるという教師が休んでいたため,使うことなく植物状態になってしまいました (残念です)。 これらのエピソードはNHKで放送していたものです。 その趣旨は誰でもよいからその場に居合わせた人が積極的にAEDを使って人命を救助しましょう,トラブルに巻き込まれたらどうしようというような懸念は捨てましょうというものでした。 スタジオには何台ものAEDが置いてありました。 当然,ここで 「では,AEDの使い方を説明しましょう」 となると思いきや,なんと,なんとなんと,何の説明もなく番組は終了したのでした (キャスターのKさんはNHKでも最も優秀な人だと思っているだけに残念です)。
 ・・・(中略)・・・
もちろん積極的に参画することが望ましいのですが,しない方が評価されるということもあります。 1961年にphocomelia1)の出産が世界的にというより,先進国で大ブレークしました。 最初は放射線が原因だとかウィルスだとか,いいかげんな説が流布していました (専門家と称する人たちの間でですよ)。 催眠鎮吐薬サリドマイド(thalidomide2))の関与がドイツとオーストラリアの医師によって独立に指摘されたのは、1961年11月のことでした。 オーストラリア政府は,その月のうちにサリドマイドを市場から引き上げさせました。 西ドイツとイギリスは翌12月に禁止しました。 カナダ政府は翌年の3月まで待ったために非難を免れませんでした。 ここでアメリカです。 FDA(Food and Drug Administraion)3)はまだこの薬を認可しておらず,1962年2月の段階で認可申請を却下しました。 FDAのサリドマイド(アメリカでの名前はKevadon)認可担当医務官Frances Kelseyは,この薬の認可を遅らせアメリカをサリドマイド禍から救ったということで,当時のアメリカ大統領JFKから,非軍人では最高の勲章であるPresident's Gole Medal for Distinguished Serviceを授与されました。 しかし,「仕事が遅くて,認可を先延ばしにしてただけじゃない」 という声もありました。 事実その後,FDAでは新薬の認可が遅々として進みませんでした。 「必死になって仕事するより,ノロノロしてたほうがいいかも」 という風潮になっていったようです (どこでも同じなんですね)。
 ・・・(中略)・・・
日本でサリドマイドが市販されなくなったのは1962年9月でした。 日本のサリドマイド児は309人,世界では約7000人,これに対しアメリカは19人にとどまりました。


1) アザラシ肢症。 ギリシャ語のphokeアザラシ(seal)とmelos肢(limb)を合成したもの。 サリドマイド胎芽病(thalidomide embryopathy, Wiedemann-Lenz症候群とも呼ばれる)にみられる代表的な障害。
2) N-phtal-imido-glutarimide。 ドイツで開発された沈静催眠鎮吐薬。 新生血管抑制作用があるため抗癌剤・多発性硬化症治療薬として再び関心を集めている。
3) 米国食品医薬局

この引用意図は、二点。
・ 大人・仕事の世界(ゲゼルシャフト)では、結果が第一義である。< 過程よりも結果が問われる
・ 教育・成長の観点(ゲマインシャフト)上は、過程を受容することが必要。< 将来の結果に繋がる

by bucmacoto | 2006-04-23 18:02 | quote/data | Comments(0)
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