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ふたつの自由のはざまで
2006年 10月 11日
私の苦手な英語では、日本語の自由に該当する言葉がふたつあるともいう。

   真っ先に思い浮かぶのが、Free あるいは Freedom

   そしてもうひとつには、Liberty

 前者のFreeには、自由奔放というニュアンス(free and easy とか on free:タダ)を感じるのだが、後者はそれよりももう少し秩序あるニュアンスを感じる。 「知性ある自由」などという言い方がぴったり当てはまるのは後者であろう。
 後者はアメリカ的権利としての[自由]を示すといわれる。 権利として明確な以上はそれを行使する以上は責任を伴う感覚が私にはあるからかもしれない。 こちら参考
ニューヨーク・マンハッタン島の自由の女神はリバティ島に立つ像であるが、リバティベル(自由の鐘)も自由精神の象徴としてよく謳われる。
 ※ 長い間 Leberty Bell(フィラデルフィア市 Independence Hall そばにある合衆国独立の象徴)と、自由の女神が立つリバティ島を混同していたなんて恥ずかしくって内緒です w


 (唐突に唯物史観風 or 第3の波ふう伝承) 太古の時代、人類がか弱く群れていなくてはたちまちに野獣に襲われ食い殺されてしまうほどに古い時代。 人々は共有することで生きてきた。 助け合うことで生きてきた。
 奪い合うことはもとより類人猿時代からの生業であった。 群れなかでの序列が社会を作り、秩序だった共有を実現する基盤であった。
 それでも所有よりは共有が、人々にとって価値ある態度であった。 なぜなら、共有に優先する所有 ── それはしばしば独占~または少数者の寡占と呼ばれる ── 状態が常態化するならばゆくゆくはその群れは生存という競争に敗北するリスクを増すからであった。 独占されたままの知の力は、その者の死と共に滅びる。 模倣もされず一子相伝で伝えられた知の遺伝子は、やがて粗雑な模倣の劣化を凌ぐ速度で突然変異を招き崩壊をきたす(あたかも重ねられた近親交配による劣性遺伝子顕現のように)※。
 それが時代を経るにつれ、原始共産制のような共有を基盤とした社会秩序から、所有を前提とした社会へと変容を遂げて行った。 あるときは施政者の力で。 あるときは聖職者の権威で。 そしてそれらは権威ある者の声であると同時に 賢人の祈りでもあったから、物語として語り継がれ 書に書かれ 普(あまね)く民の有するものとなった。

 ※ 知の近親交配は好ましい突然変異を生み出す例も非常に多いと思われる。 この点は生物学的交配の重複とはかなり異なる面はある。 (安易なアナロジーには向かない)

 とか書いて、これじゃわからんぞと思ったので、率直な文章に変えよう。。(笑)

 サル山のサル、自然状態の霊長類を観察しても、必ずしも一夫一婦制や所有の継承は一般的なものではないといいます。 鳥類や哺乳類一般に拡張するとそれはもう千差万別な配偶形態だそうです。 さらに 「おしどり夫婦」 という語源にもなったおしどりの営巣でも、卵のDNAを調べると20%を超える いわゆるお父さん外精子の混入が検出されます。(9年前の日経サイエンス短信記事より)
 それらの鷹揚な社会と共に、霊長類に(必ずしも限れないそうですが)特徴的な本能制御的社会行動として、「子殺し」の例があります。 これは旧いボスとの争いに勝ち新たにボスの座に君臨した若いオスが、旧ボスの子ザルをことごとく噛み殺すという行動です。 通常のメス猿は子の飼育期間は発情をしません(ホルモンバランスでそうなる)が、子を失ったメスは急速に発情をきたして新しいボス猿の求愛を受け入れます。 そうしてボス猿は念願の交尾を果たすことで、結果として自身の遺伝子を残せるというものです。 このような自己遺伝子保存行動に着目して、R・ドーキンスの 利己的な遺伝子 説を読むと面白い視点があるかもしれません。

 このような視点と、利他的行動 (自分を天敵をおびき寄せる危険を犯しても他を助ける)とを結びつける仮説はいろいろありますが、まだ定説化しているものはないようです。
 一方でシステムダイナミクス~カオス理論~ライフゲーム・シミュレーション などの帰結として利他行動を説明するのも、まだ実際の社会行動を汎用的に説明仕切れていない気がします。

 ※ マス目を移動するセルが、隣接するセルと出合った時に、「協力 or 裏切り」 を選択する事で、ポイント利得や損失が発生し、そのポイントに準じて繁殖できる。 ← ライフゲームの原型

 このゲームの戦略研究初期に(長期的に見て)どのような戦略をするセルがもっとも栄えるか。 これは私がこのゲームを知った頃(十数年前)での結果ですが、単純な 「やり返し戦略(目には目を=因果応報戦術)」 が最終的な勝者だったはずです。(他のタイプも絶滅はしないが細々と生き延びている状態)
 まぁ、あまりに単純に 「いつでも(相手の裏切りの後でも)協力」 というのだと、「いつでも裏切り」戦略のセルに文字通り食い物にされることが多く危険。 かといって 「いつでも裏切り」が繁栄すると急速に食い物にできる相手がいなくなるので、(短期的にはともかく)長期的には不利。 ということになるため、結局は「初めての出会いでは協力する。 相手が裏切らない限り協力する。 裏切りを受けたなら報復する。」 という戦略のセルが最も強い生命力を示したはずです。
 ※ このゲームは、初期条件(ルール設定)で結果にかなり違いが表れることで知られます。
 上記の結果をもたらしたルールは
  両者の協力 = 互いに+1ポイント
  両者の裏切り = 互いに -1ポイント
  片や協力し 方や裏切る = 協力者(裏切られた)は -2ポイント、裏切り者は +2ポイント
 ってものだったような。。。(ごめんなさいかなり古い記憶なので ^^;)


 さて、芸術は 所有という名の庇護の下に花咲き栄えるのか、あるいは共有という自由の土壌こそが肥沃さをもたらすのでしょうか。

 突然に上記のようなことを思いおこしたきっかけは著作権について触れたこちら → きょう思ったこと
 著作権の現行法とその変遷は、興味があればネット上だけでもかなり知ることができると思います。 ちなみに私はもう90%以上忘れました つか 頭に入らなかったです(爆笑

 言葉は共有の生産材です。 少なくとも独占は不可能。 しかし文学作品となるとそこに意匠や表現(修辞)などの独創を根拠として著作権が付与されます。(法の基本にはプロだからという権益擁護はない

 芸術の模倣は許されるか。 許されなければ、写経とか、名画の模写とかできない。
 これは、(著作権者の死亡などで)著作権の消失が確定している場合にはそう。

 では著作権の存命中に、原著作者が許可したにも関わらず、著作隣接権保有者による制限を行使しうるのか?
 あるいは、原著作権を模倣したアレンジであるにも関わらず、独自に原著作物として他者への使用制限を科す事は可能なのか?


 知的財産という概念があります。(代表的なのは特許。 それらの整理を補助するのは弁理士)
 発明ではある程度まで発明者への相応な報酬が一般化しています。 青色発光LEDを発明した中村博士への発明寄与が高額算定された例など。
 他人のアイデア(所有状態)を盗むのは泥棒とされます。 産業スパイ事件などですね。
 その一方で、他人が見つけ公開したアイデアを再利用したり工夫を加えることは、違法どころか奨励されます。 特に学会(任意団体であろうとも)などの社会性を有し 知的共有土壌のある場においてはなおのことでしょう。

 この 泥棒扱い ⇔ 正当な利用者・協力者 との間は、実は連続性もあるのかな?


 さて、発明ほど特殊な思い付きや 孤独な実験と試行錯誤を経ずとも付与され認められる著作権。 この権利を無視するというのは泥棒でしょう。 一方でTV・Radioなどのメディアが(特に昔は無断であろうと)オン=エアすることは協力者としてみなされてきました。
 ここにも
  個人が行えば=泥棒・海賊版
  組織(公器)が行えば=育成協力
 という図式が、そもそもの前提概念として存在している。 なんだかそういう気がします。


  この話を続けると、どつぼなのでこの辺で。。。


 あ、ちなみに私は商人の息子であるくせに 『お百姓さんの汗より 工匠の工夫より 単純な流通で儲けてはならない』 という士農工商っぽい感覚があるようです(苦笑)。
 まぁね、キレイ事ばっかり言ってたら生きては行けないにせよ、悪徳商魂って奴はダメ >。<;
 悪いことは隠して 誇張した誇大広告で、錯覚させ(だまし)で利を膨らませるっていうような 「悪しき商業主義」 とかいいたくなるやつね。
 名貸しで利だとかも どうにも。。。 あ、それ言っちゃったたら アパレルブランドはほぼ全滅か w



所有とは 獲得の後にやってくるもの。
 産出とは 古い所有物から 新たな価値を生むこと
 所有とは 共有の後にあり 共有の前にあるもの
共有とは 自己の獲得物を開くこと。

所有を残し 共有を満たして 人はこころを開く


open by liberty, better than free.

by bucmacoto | 2006-10-11 21:55 |   pre/pro | Comments(0)
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