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みなしご という演出
2009年 12月 25日
ハリー・ポッター第7巻「死の秘宝」を読了した。

第1巻「賢者の石」は発売後半年ほど経って読んだ。 その後の2~6巻は購入して直後に読んだ。
今回のように、発売されて1年以上経ってから読むのは初めてだった。
やはり、というか、さすが完結編というのか、見事にストーリーが結び止められていた。

死というものを、言葉を通じて理解するうえで、ファンタジー(おとぎ話)は有効である。
広義の宗教とは、原始的な哲学とは、そうしたおとぎ話の設定を通じて育まれたものだろう。
荒唐無稽なほどに現実離れした世界を通じて、現実離れにしか思えない死を内的世界に育むのだ。


私が子供の頃・・・低学年児童のころに夢中になったテレビマンガのひとつに、タイガーマスクがある。
オープニングの主題歌は、軍歌もさもあろうかというくらいに勇ましく、エンディングの曲は、孤児である境遇を呟いて切なかった。 (母が、「この終わりの歌はいいよね。心にしみる」みたいなことを言っていたことを憶えている)

オープニング/エンディングはこちら



なんと最終回(私は見逃していたのか記憶が明確ではない)の様子もネットで見つけた。



敵役(ラスボス)は、こういう奴(玩具像)
 > http://www.j-hobby.com/kms_jpn/Asserts/product/vaf_af036.jpg

デイリーモーション - TV アニメ 「タイガーマスク」 最終回  jp anime ep lastend story - 映画& TV ビデオ


当時はまだ戦前の価値観の残滓があったのか、それとも孤児(こじ/みなしご)が今よりももっと身近な存在だったのだろうか。 アニメの主人公の境遇には、両親を亡くしたり、棄てられたり、はぐれたり、といった境遇が多かったように思う。
ハッチもみなしご、矢吹ジョーも孤児だ。
・・・でも今では古典になろうかという、ああ無情(レ・ミゼラブル)の主人公ジャン・ヴァル・ジャンも、孤児だった。


ポッターも、そして敵役のヴォルデモートも、どちらも孤児である。

そういえば、

♪ 時には、母のない子の ように
 黙って、海を見つめていたい

なんていうふるい歌もあったよなぁ。



死を想う そして 生を思う

マッチ売りの少女が点す灯りは、クリスマスの寒くて凍えた夜の中、冬至を迎えた夕暮れの空の下、少しばかりの儚い夢を求めずにはいられない人々の影絵を揺らすのだ。



ポッター7巻で印象的だった語句

(296頁 レイブンクロー寮への入り口にて問われた)
 「不死鳥と炎はどちらが先?」
 (ルーナ)の答え
 「円には終りがない」

 まるで、「ニワトリと卵」問題に対する完結な回答例のようだ。

(498頁 あの世との境界ゾーンでダンブルドアによって)
 「・・・興味深いことじゃが、ハリーよ、権力を持つのに最もふさわしい者は、それを一度も求めたことのないものなのじゃ。 きみのように、やむなく指揮を執り、そうせねばならぬために権威の衣を着る者は、自らが驚くほど見事にその衣を着こなすのじゃ」

 権力の魔性に摂り込まれないために肝要な点はここらしい。


(502頁)
 「・・・真の視の支配者は、『死』から逃げようとはせぬ。 死なねばならぬということを受け入れるとともに,生ある世界のほうが、死ぬことよりもはるかに劣る場合があると理解できるものなのじゃ」

 この本、図書館の児童書フロアーから借りたんだよね。 小学生向きの記述なんだよね、これ。


追記 >空想学園 side:H ハリー・ポッターと死の秘宝 目にして、映画のイメージとの違いに思わずニヤリ


子供の頃って、必殺技とか、アイテムとか、特別なものに心を惹かれるのが一般的だろう。

そして、どこか遠くの世界にある「特別なもの」よりも、自分の傍らにある「普通のもの」こを欠け替えないと知ることは、成長なのか諦めなのかわからないが(『青い鳥の物語』じゃないけれど)大人になってゆく過程なのだろう。

自分にないからこそ、孤児は親の愛に思いを馳せ、煩わしい家に縛られている者は天涯孤独の自由さにロマンティックを感じ取る。


地球環境を考えるとか、水と空気と夜空のまたたきを大切にするんだとかいう性向は、成長してやっと身に備わってゆく価値観なのかもしれない。 子供の頃には親がいつか死んでしまうことなんて想像できないように。 それがいつの間にか、いつまでもあるものではなくなく、なることだってあるんだとわかってゆくように。

そう思ってみたのだった。(時間少ないんだから、虎のイラスト探すんじゃなくさっさと年賀状書けよ)
by bucmacoto | 2009-12-25 22:31 | wave | Comments(2)
Commented by eikcaj at 2010-01-01 11:40
オイラ、こどもの頃(確か幼稚園)タイガーマスクの最終回を観て泣いてました。
孤独で強くて優しいタイガーが大好きでした! タイガーマスク二世にあの
「ちびっこハウス」の少年がなっていたのはびっくりだったのだ!
                今年もよろしくお願いします。・・こまっ太
Commented by bucmacoto at 2010-01-02 01:11
※ こまっ太 さま

今年もよろしくです ^^

きっと再放送ですね。
初公開時だと、幼稚園どころかおそらくまだ精子と卵子だったと思うので ^^;
強くて、優しくて、頼り甲斐があって、そして甘えない(孤独さが陰影影となっている)。。。 そういうのが私の子供の頃のヒーロー像でした。

タイガーマスク二世はまったく知らなかったです。
1981年・・・A面で恋をして(ナイアガラ・トライアングル)、ルビーの指環(寺尾聡)の年となると私は高校卒業してましたんで(ぇ? じじぃでしょうか w)
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