2009年 05月 12日
馬から落馬した。 このような用法は間違いだとされている。
「馬から落ちる」ことが即ち「落馬」であるから重複になるというわけだ。 まぁ、「ラクダから落馬した」り、「牛から落馬した」りしたなら誤用であろうが、そうではないこのような いわば正しい重複ならばかまわないではないかと思っている。 微妙なのは、ラバ(雄ロバと牝馬の子)から落馬したような場合だが、「騾馬(ラバ)から落馬」ならば、間違いなく正しい日本語の用法になる気もする。 履物を履いたり、食事を食べたり、的の真ん中に的中したり、そのような用法は誤用とされていようとも強い印象を与える用法だ。 そしてこのような冗長性(シンプルな要素の反復)というものは、情報の伝達という面では堅牢性を示す。 外来ノイズのようなかく乱要因に多少侵入され乱されても、本来の情報を保ちやすいのだ。 シンプルさを失うこと、それは乱雑さ(エントロピー)の増大ということだろうか。 シャノンの定義したエントロピーは、情報量(単位はビット)を意味した。 このことを直感的に理解すると、情報圧縮が可能であるほど冗長性が高いといえるし、情報の圧縮が不可能であるような系(完全にランダムなノイズはそれ以上の圧縮が不可能)ほど多様性が増しているといえる。 シンプルさを残しながら、多様性を獲得するという、この相反要素を上手にまとめて存在することができる系統の代表はいわゆるフラクタルになるのだろう。 大きな塊と、小さな塊とが共存して、より高度(という言辞が嫌いなので メタ というほうが私はしっくり)な構造の要素になるわけだ。 日本の石造りの城壁は大小さまざまな大きさの岩石が組み合わされているから、強いのだという解説がある。 アモルファスと呼ばれる非晶性構造や(単一ユニットではなく複数ユニットが組み合わさった)準結晶の柔軟な強さも同様な強さである。 その一方、完全に均質(単調かつシンプル)である素材だって、非常に優れた性質を示すという。 純度が99.99999999%にも達するファインメタルやファインスチールは耐候性や耐腐食性能に優れ、非常に強靭な剛性を示すという。 純粋な炭素の金属結晶(?)がダイヤモンドであることは中学生の頃に学ぶ。 均一性というものは近代化の有力なツールだった。 帝国的で広汎な支配のよさは、工業化やグローバリゼーションでの、ばらつきの小ささ(粒よりさ)を普及させたことだと思う。 ISOやIEEEのような規格化が世界の中で支配的な位置を占めることで、本当の意味で「普及」や「啓蒙」が成立するのだ。 ※ かのイマヌエル・カントは、未成年状態(誰かの助けがなくては理性を行使できない)から脱却して、自らの理性を行使する勇気(これは権威によるお墨付きに頼るような精神の対極)を持て! という標語こそ啓蒙精神とした。 (らしい) 公平という言葉と、平等という言葉には、共通する要素と同時に両者を区別する使われ方もある。 身体が巨大で草食主義者の象と、それほどの体格ではないが肉食で食通なアリクイと、両者に同じエサを与えるようなことを公平だとか平等だとか呼ぶような気にはなれないのだが、人間社会で声高に叫ばれる それ には、そのような成分が紛れ込んではいないだろうか? フェア(公正・公平)であろうとすることは大切だと思う。 卑怯なダーティさを排除できなくては、寄生体によって肥料も土壌も使い果たされてしまう。 しかしながら、不必要にイーブン(平等・同質)であることを求めることにも、本来の成長ののりしろを奪う・・・いわばスポイル・・・されることに繋がってゆくように思うのだ。(いわゆる悪平等) フェアであること、それはシンプルさに支えられた概念だと思う。 権威や財力や縁故などの「本来の実力以外」の要素に拘(かか)わらずに人選や契約がなされるような、「頑固な単純さ」があってこそ公正といえるだろう。 いわゆる 田舎的で封建的な社会の暗部を理性によって封じ込めて、成立する。 そしてフェアであり続ける限り、サイズの大小というものを問題としないのも、健全な理性のあり方だろう。 ライセンスという権威、金銭的な保証なども無用だとは思わないが、本当に有用で有益なのは、はりぼての外観(立派な包み紙や上げ底された容量)じゃあない 実質の品質なのだと思うし、その品質が悪化したり悪影響がない限りはその足を引っ張る理由など大抵が嫉妬でしかないのだろう。 社会を成立させ、発展させるには、健全な個人主義(良心の自由)も明快な組織主義(利益は個人が持ち出してはならない)も両方が欠かせないと思う。 シンプルさと多様性を共に保つには、杓子定規の善さと限界とを見極め、臨機応変さの制御と利用価値を調和させる、そんな両面対応とバランス取りとリズムのよさが求められる。。。そんな気がした。 あれれ・・・(?o? たしか書き始めは、compare(同じであることを確かめる 対象の照合)とcontrast(違いが際立つ 対象の対比)について書こうとして、シンプルさと乱雑さって題にしたような気が・・・ ^^;
by bucmacoto
| 2009-05-12 00:11
| duality
|
Comments(4)
日本人は漢字・カタカナ・ひらがな・ローマ字・和製英語
ごちゃ混ぜで使いこなす賢い人種だと思う反面、 日本人自体が理解できない言葉や漢字が多すぎ(笑) また、言葉に頼りすぎて、感情表現が苦手なのが残念な部分かな。 パソコン使っていると、明らかにアルファベットの方が機能的なんだよね (^^;
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bucmacoto at 2009-05-13 19:47
○ mellon さま
脳内の思考手段が多様性に富んでいるのですね > 日本人 そういえば言葉で何かを考える時、英語やラテン語っぽい単語を思い浮かべることって多いです。 私、語学は壊滅的にヨワイのですが面白いものです。 和文タイプを打てた人以外で、かな入力してた人を一人だけ知っています。 銀行システム系のSEさんなのですが.彼が言うには「和文入力の方がキータッチの数が少ないのだから(入力が)速いに決まっている」と思い、そちらでマスターしたのだそうでした。 私はキー位置を憶える能力に自信がなく、当然のローマ字入力派であります ^^
Commented
at 2009-05-13 23:01
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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bucmacoto at 2009-05-14 08:00
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